カレン・ホーナイによる精神疾患の発症メカニズム理論の骨子

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ドイツの精神分析医のカレン・ホーナイは、多数の患者の臨床経験と研究から、精神疾患(ノイローゼ/神経症)は、子ども時代の恵まれない生育環境から発生していることを発見しました。そのような問題のある環境で育った子どもは、継続的な深い不安と緊張感を抱くようになります(基本的不安)。そしてそのような不安から逃れるために、自分の環境と個性に合わせた、自分が目指すべき人物の理想像を作り上げ、その理想像への到達を目指すことにより、自信と安心を得ようとします。そして、「自分は人に好かれるべき」またはその逆の「自分は人から好かれなくても超然としているべき」など、自分の環境と個性に合わせた多数の内的命令を作り上げ、自分を理想像に近づけようとします。

そのため自分の生来の人間性(真の自己)が健康的に成長しているのではなく、深い不安・混乱とそれを覆い隠すためのあるべき自己理想像に分裂した、不健康な精神・性格構造になってしまっています。そして、この自己理想像を達成できなかったりして、強いストレスにさらされると隠されていた基本的不安等が前面に出てきて、様々な精神疾患および生活障害(全般不安障害、対人不安障害、パニック障害、抑鬱、うつ病、双極性障害、強迫性障害、身体醜形障害、睡眠障害、摂食障害、依存症、ひきこもり、セルフニグレクト、適応障害等)を発症するようになります。

このように自分の理想像の「べき」にとらわれている精神疾患者は、自分の不幸な子ども時代の経験についても、歪曲された非現実的な態度、認識を行っていることがあります。以下にホーナイの名著「神経症と人間的成長」の「第3章〈べき〉の専制」から引用します。

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・・・この傾向は要求が過去に向かってなされる時に最もはっきりと現われる。神経症者の幼年期に関しては、神経症を引き起こしたいろいろな影響を明らかにすることも大切であるが、彼が過去の逆境に対して、現在どのような態度をとっているかを知ることも重要である。彼の態度は過去に経験した幸せや不幸によってよりは、現在もっている欲求によっていっそう強く規定されている。例えば、一般的に、このうえもなく楽しく明るくありたいという欲求を発達させているなら、彼の幼年時代は金色の霞に包まれて思い出されるだろう。また、感情を一定の型にはめ込んでいるなら、両親を愛すべきであるから愛しているというふうに感じるだろう。彼が自分の人生に対して責任をとることを拒否しているなら、自分の障害のすべてを両親のせいにするだろう。この態度には復讐がともなっているが、それは公然と外に現われることも、抑圧されて現われないこともある。
 最後に、これとは反対の極端な態度をとり、一見、自分の責任でない分までも引き受けるように見えることがある。この場合、彼は幼年期に受けた脅迫的、拘束的な経験が自分にどのような影響を与えているかを十分知っているかもしれないが、意識的にはまったく客観的でもっともらしい態度をとる。例えば、彼は、両親はあのような行動をとるより仕方がなかったのだ、と言う。時々は、自分はなぜ何の恨みも感じないのだろうと不思議に思う。恨みを意識しない理由の一つは、ここでわれわれに興味のある懐古的な〈べき〉が働いているためである。彼は自分の育った逆境は、他の誰でも駄目にしてしまうほどのひどいものであったことを知りながらも、ほかならぬ自分だけは害を受けずに、無傷のままでそこから抜け出てくるべきだったと思う。彼はこれらの要因に侵されないだけの内面の強さと不屈の精神をもっているべきであった。だから、その影響を受けてしまったのは、自分が最初から駄目な人間であった証拠である。言い換えると、彼はある点までは現実的で、「そうだ、あれは偽善と残虐の溜池であった」と言う。ところが、その時点から彼の目は曇ってくる。「私はなす術もなくあのような環境にさらされていたけれども、泥沼に咲き出る蓮の花のように清らかであるべきだったのだ」と思う。
 彼がもし自らの人生に対してこのような見せかけの責任ではなく、真の責任をとることができれば、これとは違ったふうに考えることができるであろう。すなわち、自分の幼年期の環境が自己の形成に悪い影響を及ぼしたに違いないと認めるだろう。そして、自分の障害が何から起こったにせよ、それが自分の現在と未来の生活を悩ませていることを認めるだろう。だから、彼がこの障害を克服するためには、自分のエネルギーを奮い起こした方がよいのだ。しかし、彼はそうは思わずに、自分は影響を受けるべきではなかったのだという、要求のまったく幻想的で無益なレベルに、その事柄全体をとどめておく。この患者がもしもっと後の時期になって、態度を変えて、幼年期の悪い影響にもかかわらず、自分がすっかり駄目にならなかった点を認めるなら、それは彼が進歩したことの一つのしるしである。・・・
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以前、同様の内容を投稿済みだと思いますが、引用を増やして再作成してみました。

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