不安障害(神経症)の改善にかかる期間(鈴木知準氏の著書より)

morita-therapy

鈴木知準氏は、自身の診療所で、森田博士が患者に行っていたように、入院生活治療を提供していました。
患者たちが、何日にもわたる集団入院生活中に、診療所での作業や生活の中で、症状を持ったまま、色々な作業や生活に入っていくように即され、症状などより、作業の内容等に注意を払って活動していくように指導、打ち込みが行われます。
これにより、入院患者は、症状等があっても、日常の活動、行動の中に入ってく態度、生活の基礎が植えつけられます。
私が鈴木知準氏の著作より学んだことの一つは、メンタルヘルス障害(神経症)の改善には、何か月、何年も、この活動の中に入り続けることが必要だということです。

鈴木氏の著書、「ノイローゼ全治の道を語る」(誠信書房, 1984年出版)より、以下に引用させてもらいます。
対人恐怖症の例です。

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十四章  鈴木学校で入院治療をうけた対人恐怖の人たちの治癒率を語る
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 私は対人恐怖の人たちを入院森田療法を行った後に、その予後、すなわちどうなったかを調べた。そのよくなった状態として、前項にもふれたけれど、重要なので重ねて述べると次の段階がある。
 A段階とは 現在対人恐怖の不安症状をほとんど忘れてしまって活動的に勉強、勤務している状態。
 B段階とは、対人的の症状、例えば対人的に緊張するとか赤面することがあっても、それは少しも苦しくも不安でもなくなり、活動的に勉強、勤務している状態。
 C段階とは、対人的の不安症状はなおあるが、日常の生活は一応普通にできる状態になったもの。
 D段階とは、対人恐怖の不安症状が強度で普通の生活ができないもの。
 このA段階、B段階が全治であり、C段階は軽快であり、D段階は未治の状態である。
 私の所に、昭和五十年一月から五十六年八月までに、二十五日以上、入退院した二六〇例の対人恐怖の人たちを、少なくも退院後二ヵ年以上たってから、五十八年九月にアンケートを発して調査した結果、二〇〇例(平均的一二七例、関係妄想性七三例)の回答を得た。
 平均的対人恐怖では一二七例中、全治(A段階+B段階)は六五例(五一・二%)であり、軽快は五九例(四六・五%)であり、未治は三例(二・四%)で、高度の改善状態であることを示している。
 それから極めて治癒困難といわれる、関係妄想性対人恐怖においても七三例中、全治(A段階+B段階)は三七例(五〇・六%)、軽快C段階は三四例(四六・六%)、未治は二例(二・七%)である。
 関係妄想性対人恐怖の中の、名古屋大学の笠原教授の言う自己視線恐怖とか、自己臭と言われる放屁恐怖を治したことがないと言っている治療者も多い。私の所では表のように高度の改善状態を示している。
 しかし、この全治B段階に到着するまでには、時日のかかることを知らなくてはならない。そのためには、治療をうけた人たちと長年月のあいだ連絡がない限り分からない。外来治療で説得などのみの場合は、患者との人間関係が少なくて、知ることが出来ないのが普通である。
 今記述しているのは医学論文でないので、簡単に述べることにとどめるが、軽快C段階に到着するのに、平均的対人恐怖の場合は、一一三例の入院してからそれに到着する時日の平均値が一〇・二ヵ月、関係妄想性の場合は、六六例の平均値が一五・三ヵ月を要している。
 つぎに全治B段階に到着するのに、入院してからの時日の平均値は、平均的対人恐怖の場合は六五例の平均値が三六・六ヵ月であり、関係妄想性の場合は三六例の平均値が四二・八ヵ月であって、長年月を要している。
 以上述べたように、とにかく全治には長年月を要するのである。神経質の人びとは、ねばってあの生活態度を正していくことが大切なのである。ねばっていれば、運命は自ずから開けてくるものである。悲観しながらもねばって、現在の生活態度を正していくことのみが、なんとしても大切なことである。
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引用中にあるように、入院治療を25日以上、経験した患者でも、退院後、全治B段階に到達するのに、平均対人恐怖でも36.6か月(3年)、関係妄想性対人恐怖では、42.8か月と3年半もかかっています。
症状等をあるがままに、どんどん、生活の活動に入り続けていく、それを何年も続けていく忍耐と継続が必要なことが分かると思います。

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